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不眠の診断・治療

不眠障害(不眠症)

 最新の睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3:2014年に米国睡眠医学会刊行。日本語版は現在、翻訳作業中)では、不眠症(Insomnias)は「不眠障害(Insomnia Disorder)」に病名が変更されています。

 厳密な「病気」としての不眠障害(不眠症)は、下記の不眠の症状に加えて、不眠が原因で日中の活動に支障(日中症状)が生じた状態を言います。

 

不眠の症状

入眠障害:以前に比べて寝付くまで30分以上かかるようになった
中途覚醒:一晩に2回以上、目覚めてしまう
早朝覚醒:以前に起きていた時間よりも2時間以上、早く目覚めてしまう

の客観性の高い症状のみになり、主観的で定量化が難しい「熟眠障害」はICSD-3では除外されました。

 

日中症状

・疲労または倦怠感
・注意力・集中力・記憶力の低下
・社会生活や家庭生活や就業生活上に支障、または学業低下
・気分がすぐれなかったり、イライラしやすくなる
・日中の眠気
・行動の問題(衝動性や攻撃性が増す)
・やる気・気力・自発性の低下
・過失や事故を起こしやすくなった
・眠りについて心配したり悩むことが増えた

これらの不眠の症状と日中の症状が少なくとも週に3日以上、3ヶ月以上認めた場合、「(慢性)不眠障害」の診断になります。

 

※下位分類

・慢性不眠障害:不眠症状が3ヶ月以上持続
・短期不眠障害:不眠症状が3ヶ月未満
・他の不眠障害

 

不眠の原因

 不眠症状を起こす原因は以下の5つに分類されます。

  • 心理学的原因(Psychological):ストレスなど
  • 生理的原因(Physiological):不規則な生活習慣、就寝環境(熱帯夜や寝室の温度・湿度、騒音など)
  • 精神医学的原因(Psychiatric):うつ病や不安障害、アルコール依存など精神疾患に伴う不眠
  • 身体的原因(Physical):体の病気による不快感・痛みなどが原因
  • 薬理学的原因(Pharmacological):服薬している薬の副作用や、お酒・カフェイン飲料・喫煙など嗜好品によるもの

 当院では、問診票や睡眠質問紙標を用いて、不眠の原因、不眠症状の特徴を評価したうえで、適切な生活習慣指導・薬物療法を行います。治療による症状の改善の程度についても定期的に睡眠質問紙票を用いて評価します。

 ※躁うつ病や統合失調症に伴う不眠の場合、不眠症状だけを単独で治療することは難しく、また、不眠症状が、これらの精神科の病気の症状(残遺不眠と言います)の場合、元の病気の治療を優先しないと、精神科的な病気が再発・再燃するリスクが高いとされています。今までに躁うつ病や統合失調症で他の精神科医療機関で治療を受けたことのある方は、必ず主治医と相談の上で、紹介状を持参の上で当院への受診をお願いします。病状によっては、もとのかかりつけの医療機関、あるいは精神科の専門的医療機関の受診をお願いすることもあります。

 

慢性不眠障害(不眠症)の発症原因

不眠症状が慢性化する原因として、

素質:不眠障害(不眠症)になりやすい体質
結実因子:受験勉強や仕事の負担、人間関係など、不眠のきっかけになりうるストレスイベント
永続化因子:不眠そのものがストレスになり、布団・ベッドに入ると無意識に緊張してしまい、眠れず、眠れないことがストレスになって、一層、眠れなくなる

という3つの因子が関わっているとされています(Spielmanの不眠慢性化モデル)。素質(体質)を変えるは難しいですが、ストレスにさらされて不眠症状がでた初期の段階で、不眠症状が永続化する前に適切な治療を行うことで、多くの不眠障害は改善が見込まれます。 

 慢性不眠障害が長く続いてしまうと、不眠に対する不安や、睡眠薬で眠れていても薬に対する不安が強まり、また、自己判断で服薬を止めてしまうことによる不眠症状の悪化・再燃が、一層、不眠への不安を強めてしまい、不眠が悪化してしまいます。この場合、不眠に対する不安・こだわりや布団・ベッドに入ると無意識に緊張してしまう状態(「身体化された緊張」と「学習された睡眠妨害的連想」と言います)を解消するため、安定して眠れるようになるまで、必要最小限の睡眠薬を継続して服用し、症状の改善を見ながら減薬をおこないます。どうしても、不眠に対する不安やこだわりが改善しない場合、不眠に特化した認知行動療法(Cognitive-Behavioral Therapy for Insomnia:CBT-I)の適応になります。CBT-Iの適応、希望の場合、CBT-Iが可能な、

医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木
国立精神・神経医療研究センター病院

への紹介を検討します。 

【 CBT-Iの一般向けの参考書】

「認知行動療法で改善する不眠症」(岡島義 著、すばる舎)

「4週間でぐっすり眠れる本」(岡島義 著、さくら舎)

 

【院長の「不眠」に関する業績】

医学系雑誌
・中村真樹、井上雄一:痛み、痒みによる睡眠障害に対する睡眠薬の使い方,眠りと医療 3(1):28-33, 2010
・中村真樹、井上雄一:不眠に関連する障害、EB NURSING 11(2):20-23, 2011
・中村真樹、井上雄一:不眠をめぐる心気的な訴え、妄想、精神科治療学、27(8):1007-1012,2012
・中村真樹、井上雄一:認知症の不眠とその治療、日本臨牀 71(6):1121-1127, 2013
・中村真樹、井上雄一:非Bz系・Bz系睡眠薬−基本を知る、月刊薬事 56(4):497-503, 2014

論文(共著含む)
・中村真樹, 高橋玄, 松岡洋夫:Olanzapine追加投与により強固な熟眠感欠如が改善し、その後、大うつ病エピソードの改善を認めた難治性うつ病の一例.精神科治療学, 22(8):955-959, 2007
・Okajima I, Nakamura M, Nishida S, Usui A, Hayashida Km Kanno M, Nakajima S, Inoue Y. Cognitive behavioural therapy with behabioural analysis for pharmacological treatment-resistant chronic insomnia. Psychiatry Res 2013; 210(5):515-21

書籍
・中村真樹、井上雄一:睡眠薬は意識を下げる薬?「睡眠薬プラクティカルガイド」(石郷岡純 編著)中外医学社, pp161-162
・中村真樹、井上雄一:睡眠薬は睡眠を深める?!「睡眠薬プラクティカルガイド」(石郷岡純 編著)中外医学社, pp163-164
・中村真樹、井上雄一、OTC・サプリメント、「不眠の科学」(井上雄一・岡島義 編)朝倉書店, pp101-107
・中村真樹、井上雄一:ラメルテオン、「精神・神経の治療薬事典、専門医からのアドバイス2014-‘15」(総監修:樋口輝彦) 総合医学社、pp190-191
・中村真樹、井上雄一:Q113 糖尿病患者の睡眠障害に用いる薬剤を教えてください「糖尿病治療薬クリニカルクエスチョン120」、診断と治療社
・中村真樹、井上雄一:VI.精神科診療に役立つ質問票、症状評価尺度:概要と利用法、4.睡眠障害、「外来精神科診療シリーズ メンタルクリニックでの診断の技と工夫」、中山書店
・中村真樹、井上雄一:VI.疾患ごとの精神療法のコツ、4.睡眠障害、「外来精神科診療シリーズ メンタルクリニックでの精神療法の技と工夫」、中山書店

学会発表(共演含む)・学会講演
・中村真樹
、杉浦健生、駒田陽子、難波一義、尾崎紀夫、井上雄一:パニック障害における夜間睡眠時パニックの臨床的特徴、第1回不安障害学会、東京(2009.3)

・中村真樹、杉浦健生、駒田陽子、難波一義、作田慶輔、林田健一、渡邊芽里、井上雄一:夜間睡眠時パニックの臨床的特徴、第29回日本精神科診断学会、東京(2009.10)
・Isa OKAJIMA, Kenichi HAYASHIDA,Masaki NAKAMURA,Meri WATANABE,Akira USUI,Kayo SHIBUI,and Yuichi INOUE:Effectiveness of cognitive behavioral therapy on patients with hypnotics-dependent chronic insomnia.
・岡島義、林田健一、中村真樹、渡邊芽里、碓氷章、渋井佳代、井上雄一:慢性不眠症患者に対する薬物療法と認知行動療法の効果‐改善者と非改善者の特徴比較‐、第35回日本睡眠学会、名古屋(2010.7)
・中村真樹、井上雄一:OTC睡眠補助薬、シンポジウム5睡眠薬の現状と今後の展望、第20回日本臨床精神神経薬理学会・第40回日本神経精神薬理学会合同年会、仙台(2010.9)
・中村真樹、井上雄一:シンポジウム「精神疾患と睡眠障害」‐パニック障害と睡眠障害‐、第37回日本睡眠学会、東京(2012.6.28)
・中村真樹:睡眠障害とGERD「睡眠障害‐体内時計の観点から‐」、第20回日本消化器関連学会・ブレックファーストセミナー、神戸(2012.10.13)
・中村真樹:第14回日本外来精神医療学会イブニングセミナー:糖尿病と不眠症、宇都宮(2014.7.12)
・中村真樹、岡島義、中島俊、羽澄恵、田村典久、松井健太郎、佐藤萌子、井上雄一:不眠症における脳内物質の変化と臨床的特徴、第41回日本睡眠学会、東京(2016.7.7-8)

一般・企業・医師会等向け講演
・高齢者の睡眠障害, 第3回東北軽症うつ勉強会,仙台(2007.2)

・ストレスと眠り、練馬区関保健所精神保健講演会、東京(2009.2.4)
・睡眠と生活習慣病、練馬区関保健所精神保健講演会、東京(2009.7.16, 2010.6.30)
・知って納得!睡眠学、八潮市「こころの健康講座」、埼玉(2011.2.9)
・「不眠症治療を考える」:不眠症治療Up to Date-これからの薬物療法を考える-(奈良、名古屋、大阪、東京都・市区医師会など計16回)
・田辺三菱製薬株式会社城西営業所勉強会:睡眠障害とうつ病の関係、東京(2012.3.23)
・吉富薬品株式会社勉強会:「睡眠障害とうつ」、東京(2012.12.6)
・渋谷区メンタルケアmeeting:精神疾患と睡眠障害〜この切っても切り離せない関係〜、東京(2013.3.7)
・エーザイ社員講演会:不眠治療のストラテジー、東京(2013.6.12)
・MSD社外講師勉強会:不眠の薬物治療のストラテジー、東京(2013.9.5)
・生活習慣病と心のセミナー:生活習慣病と睡眠障害〜糖尿病を中心に〜、東京(2014.6.13)
・不眠症治療の新たな治療戦略(京都、東京都・市区医師会など合計9回)
・生活習慣病と睡眠セミナー:「生活習慣病と不眠〜不眠症の新たな治療戦略〜」、滋賀(2015.4.4)
・東京都精神科医会「精神科領域の不眠治療」、東京(2015.9.12)
・千代田区生活習慣病予防教室「生活習慣病と睡眠障害」、東京(2015.11.17)
・平成28年度品川福祉カレッジ医療専門講座「高齢者の睡眠の特徴とその対応」東京(2016.7.22)

日本学術振興会科学研究費助成事業
・脳画像解析を用いた精神生理性不眠症とうつ病の残遺不眠の比較(研究課題番号:25461795)、基盤研究(C)、精神神経科学、2013-2017年度

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