ストレスなどから、寝付きが悪い、途中で目が覚める・いつもより早く目が覚めるといった不眠症状が続くと、心身が休まらず、その結果、意欲低下や注意力低下、イライラ感や不安が強まります。また、1997年にジョン・ホプキンズ大学の学生1,053人を対象とした研究では、学生時代に不眠を認めた人は不眠を認めなかった人に比べ、将来的に”うつ”を発症するリスクが高いことが報告されています(Am J Epidemiol 1997;146:105-114)。同じように、不規則な生活や夜型生活を続けて睡眠リズム覚醒障害を発症すると、日中に抑うつ症状を認めることが多いとされています。
さらに、未治療の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の方の20~45%は、眠っているときに呼吸が止まり熟睡できないため、その影響でうつ状態になると言われています(J Clin Psychiatry 2003;64:1195-1200)。
また、”うつ”の症状として不眠があり、”うつ”の方の90%近くは、寝付けない・途中で目が覚めるといった不眠症状を認めるといわれています。治療により抑うつ気分が改善しても、不眠症状だけが残る”残遺不眠”があり、残遺不眠が続くと”うつ”の再発リスクが高まるとされていますので、”うつ”を再発させないためにも適切な不眠治療が重要です。
このように、睡眠障害が原因で熟睡できないために”うつ状態”になることもあり、”うつ”のために不眠症状が生じることもあります。不眠・睡眠障害と”うつ状態”は密接に関連があるため、適切な診断・治療が大切です。